犬の節足動物媒介性疾患 アナプラズマ症(Anaplasmosis)

アナプラズマ症(以前は顆粒球性エールリヒア症と呼ばれていた)は、複数のリケッチア類の中のAnaplasma属によって引き起こされ、主にIxodes属マダニによって犬およびヒトに媒介されます。アナプラズマ症は 一般的に、Ehrlichia canis によって引き起こされるエールリヒア症より軽度な感染症であり、慢性経過を示すものは稀です。

病原体

リケッチア種Anaplasma spp.亜属のグラム陰性細菌
Anaplasma phagocytophilum (以前は Ehrlichia phagocytophilaと呼ばれていた)とA. Platysが一般的

ベクター

A. phagocytophilumIxodes属マダニが媒介

  • ヨーロッパ:主にIxodes ricinus (Castor Bean tick)
  • アメリカ:主にIxodes scapulari (Deer tick)やIxodes pacificus (Western black-legged tick)

A. platysRhipicephalus sanguineus (Brown Dog tick) が媒介

発生分布

  • A. phagocytophilum :北部および中央ヨーロッパとアメリカから報告されています。
  • A. platys : ヨーロッパ、北米、南米、アジアおよびオーストラリアから報告されています。

臨床兆候と診断

  • A. phagocytophilum の潜伏期間は 10日間から2週間といわれており、臨床症状は、発熱( 39°C以上)、食欲不振、沈うつ、嗜眠、巨脾症、下痢などがみられ、時に跛行と神経症状が見られることがあります。
  • A. platys 感染時には、発熱および血液凝固異常が見られ、 E. Canisとの複合感染が見られる場合は、よりいっそう病態が悪化します。
  • 診断は、ライト染色またはギムザ染色の血液塗抹標本において、好中球か好酸球内のA. phagocytophilumの確認によっておこなわれます。
  • 血液検査で最も重要な所見は、白血球減少と血小板減少です。
  • 顕微鏡検査所見で陰性の場合、特徴的な臨床症状が見られない場合、またはAnaplasma 種を区別するために、特別な分子学的検査であるPCR法が用いられることがあります。

治療

抗生剤の投与。
例:テトラサイクリン(20 mg/kgで2週間投与、場合によってはそれ以上)。

予防

現在のところワクチンは開発されていません。定期的なマダニ駆除薬の使用によるマダニ感染の防止。

ヒトに対する影響

Anaplasma phagocytophilumIxodes属マダニによりヒトへ媒介されることがあり、時にBorrelia属細菌との複合感染が起こります。