犬の節足動物媒介性疾患 バベシア症(Babesiosis)

バベシア症は、住血原虫であるバベシア属原虫によって引き起こされる溶血性貧血を示す疾患です。エールリヒア症と同様に、犬において最も重要なマダニ媒介性の感染性疾患のひとつです。

病原体

バベシア属原虫

  • 南アフリカ: B. canis rossi
  • ヨーロッパ、アフリカ北部およびアジア: B. canis canis
  • 熱帯・亜熱帯地域: B. canis vogeli
  • アフリカ、アジア、アメリカ、南ヨーロッパおよび中東: B. gibsoni

ベクター

様々な種のマダニ。特にIxodes属(“hard ticks”と呼ばれる)マダニ

  • 南ヨーロッパ、地中海沿岸地域:Rhipicephalus sanguineus (vector of B. canis vogeli)
  • 中央ヨーロッパ:Dermacentor reticulates (vector of B. canis canis)
  • 南アフリカ:Haemaphysalis leachi (vector of B. canis rossi)

発生分布

全世界的に発生が確認されていますが、主にアフリカ、ヨーロッパ、アジア、アメリカ、オセアニアで流行しています。

臨床兆候と診断

  • 高熱、嗜眠、虚弱、赤色尿、虚脱などと共に溶血性貧血に関連した症状を示します。重症の場合は、重度の貧血、黄疸、および多臓器不全が起こることがあります。
  • 診断は、関連する臨床症状とともに、血液、リンパ節、骨髄または脾臓の生検における、虫体組織の確認によって行われます。PCRテストも最近では用いられています。

治療

  • バベシア種により異なります。
  • 一般的には、イミドカルブが 使用されますが、小型のバベシア種である B. gibsoniでは 、抗マラリア薬のアトバコンとアジスロマイシンの組み合わせのように、複雑な治療が必要になります。

*日本国内で動物用に承認された薬剤はありません(2008年12月現在)

予防

  • いくつかのヨーロッパ諸国(たとえばフランスなど)ではワクチンが用いられており、B. canisにのみ有効とされています。 感染を予防するのではなく寄生虫血症を減少させます。
  • 定期的なマダニ駆除薬の使用によるマダニ感染の防止で予防を図ります。

*日本国内で動物用に承認された薬剤はありません(2008年12月現在)

ヒトに対する影響

一般的な犬に感染するバベシア種は、ヒトに病原性を示しません。