犬の節足動物媒介性疾患 リーシュマニア症(Leishmaniosis)

リーシュマニア症は、サシチョウバエ(phlebotomine)の刺咬によって人及び動物に媒介される人獣共通感染症の一つです。

病原体

Leishmania属原虫:ラテンアメリカと地中海沿岸地域においてはL. infantum が犬の感染症として最も重要です。

ベクター

サシチョウバエ:双翅目チョウバエ科

  • ヨーロッパ:Phlebotomus
  • 南米: Lutzomyia

夜行性の吸血昆虫

発生分布

  • 熱帯から亜熱帯気候にある100以上の国で発生が見られます。
  • 地中海沿岸地域および南米で非常に一般的であり、アフリカ・アジア・中米でも見られます。

臨床兆候と診断

  • 慢性疾患であり、数ヶ月から数年間に渡って潜伏期間が見られます。いったん発症すると通常は、病気の進行は急速であり、数週間から数ヶ月で死に至ります。
  • 犬で見られる臨床兆候は様々で、通常は9つの主な臨床兆候のうち少なくとも一つ以上を示します。
    1. (1)皮膚病変(脱毛・結節・潰瘍)
    2. (2)体重減少または食欲減退
    3. (3)限局性または全身性リンパ節傷害
    4. (4)眼病変
    5. (5)鼻出血
    6. (6)跛行
    7. (7)貧血
    8. (8)腎不全
    9. (9)下痢
  • 診断は、骨髄またはリンパ節からの針生検による顕微鏡下での寄生体の確認と、血液サンプルによるPCR検査または抗リーシュマニア抗体検査によって行われます。

治療

アロプリノールとアンチモン酸メグルミンのコンビネーションまたは単剤治療。
ただし、治療効果はあまり期待できず、罹患犬は生涯にわたって感染状態が続きます。

予防

  • 利用可能なワクチンがない為、サシチョウバエの暴露を減らす(夜は犬を室内に入れておくなどして)ことで予防を図ります。
  • サシチョウバエに対して忌避効果のある寄生虫駆除薬の使用による感染の防止で予防を図ります。

ヒトに対する影響

  • ヨーロッパではL. infantum が、南米では L. chagasi が、犬が主な寄生動物となって、ヒトの内蔵型リーシュマニア症を引き起こします。
  • 内蔵型リーシュマニア症は、ヒトのリーシュマニア症のなかで最も重篤であり、治療しなければ100%の死亡率を示します。
  • 世界中で一年間に新たな内蔵型リーシュマニア症患者が50万人生まれていると推定されています。 特に子供や免疫抑制状態にある成人で見られます。