犬の節足動物媒介性疾患 ライム病(Lyme-Borreliosis、Lyme Disease)

ライム病はスピロヘータの1種であるBorrelia burgdorferi によって引き起こされる細菌性疾患であり、主にIxodes ricinusによって媒介されます。
流行地域では、犬における感染率は85%以上に及びます。

病原体

ボレリア菌( Borrelia spp.

  • アメリカ:B. burgdorferi sensu stricto
  • ヨーロッパ:B. burgdorferi sensu stricto, B. afzelii, B. garinii

ベクター

  • ヨーロッパ:主にIxodes ricinus (Castor Bean tick)
  • アメリカ:Ixodes scapularis (Deer tick)

発生分布

  • アメリカでは、北東及び大西洋中央沿岸部、北部中央地域の上部とカリフォルニア北西部のいくつかの州で局地的に見られます。
  • ヨーロッパでは、ドイツ、オーストリア、スイス、チェコ、スロバキア、イギリス、スカンジナビアとロシアを含む東欧諸国に見られます。
  • アジア(中国、日本)とおそらくオーストラリアで発生が確認されています。

臨床兆候と診断

  • 流行地域では高い割合で(最大で85%)血清学的に陽性の犬がみられ、それに関連して臨床兆候を示した犬が少数(3~5%)報告されています。
  • 一般的な急性の臨床兆候は、発熱、破行、無気力、リンパ節障害、全身の倦怠感です。加えて、多発性関節炎や蛋白喪失性腎炎などいくつかの異なった臨床的な症候群が認められることがあります。
  • 診断は主として臨床所見に基づきます。

治療

臨床兆候を示しB. burgdorferi 抗体陽性の犬の治療として、ドキシサイクリン 10 mg/kg 一日二回を30日間継続、またはアモキシシリン 20 mg/kg を30日間繰り返し投与します。

予防

  • 米国および他の国ではB. burgdorferi用ワクチン製剤が利用可能です。
  • 定期的なマダニ駆除薬の使用によるマダニ感染の防止で予防を図ります。

*日本国内で動物用に承認された薬剤はありません(2008年12月現在)

ヒトに対する影響

ライム病はヨーロッパと北アメリカにおいて、人のマダニ媒介性感染症として最も一般的に報告されています。 典型的な人の臨床徴候は、歩行困難を示す抗生物質非反応性慢性関節炎です。